インフレに備える債券、iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF[TIP]をまとめました

投資先
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投資においてバランス良くポートフォリオを組みたいと思った時に候補となる債券。
株の下落局面で選択したいですが、インフレが起こるとインフレ上昇率に負けてしまいます。

そこでインフレに強い債券の出番です。

この記事では、”iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP)”と、総合債券ETFであるAGGを比較しながら見ていきます。

基本情報

TIPAGG
運用会社ブラックロックブラックロック
投資地域アメリカアメリカ
設定日2003年12月4日2003年9月22日
投資対象米国物価連動国債米国投資適格債券
保有銘柄数489597
信託報酬0.19%0.04%
直近平均
利回り(※)
1.17%2.25%
標準偏差4.12%(3年)3.51%(3年)
配当毎月毎月
基準価額129.3114.55

※直近平均利回りは2020年1-12月総配当額を前年末株価で割った値

投資先格付け

TIPは 米国物価連動国債 しか対象にしていないのですが、どのくらい違うかAGGと比較してみます。

ブラックロックのHPより自作

TIPは投資対象が”政府が発行する、額面がインフレにより上昇する米国物価連動国債(TIPS)”です。

投資対象は短期・長期織り交ぜており、平均残存時間(運用期間)は7.92年です。

参考まで比較対象のAGGは、格付けAAAの物が70%、平均残存時間は8.1年ですが、そのうち5年未満が50%となっており、比較的短期のものに寄せています。

投資先

こちらも非常にシンプルですが、同様にAGGと比較してみます。

AGGも国が発行する債券(財務省+モーゲージパススルー証券)の割合が65%を占め、非常に安定的であることが分かりますが、TIPはすべて政府債券なので、投資先信頼度はTIPが上となります。

手数料

TIP:0.19%、AGG:0.04%

iシェアーズの米国国債を対象としたETFは手数料0.15%の物が多いですが、TIPは少し割高になっています。

とはいえインフレ対策という特別性はあるので手数料は気にする程では無いでしょう。

仮に1000万円分保有していたとすると、TIPの手数料は年額19,000円です。

配当利率

2020年から過去10年の配当利率の比較です。

TIPAGG
2020年1.17%2.25%
2019年1.75%2.86%
2018年2.71%2.65%
2017年2.08%2.35%
2016年1.48%2.40%
2015年0.34%2.41%
2014年1.67%2.48%
2013年1.15%2.23%
2012年2.21%2.97%
2011年4.11%3.30%
平均1.87%2.59%

配当はAGGの方が流石に上回りますが、手数料を差し引いてもある程度残る程度の水準はあります。

インフレ対策をしながら、そこそこに配当も貰えると考えれば十分では無いでしょうか。

値動き

まずは15年間の値動きを見てみます。

Yahooファイナンスより引用

米国金利は波がありながらも右肩下がりで下がっていき、2020/7/31には0.5%という水準になりましたが、その後反発して3/30には1.77%まで戻り、急上昇した反動からか2021/8/4には1.1%まで下がるなどこの1年程度はかなり動きが激しくなっています。

(2021年8月時点での金利と債券の関係については「米国金利と債券動向の関連性をまとめました(2021年7月版)」を参照)

右肩下がりの金利が、今後上昇に転じるのだとすると、AGGのような総合債券は値を下げていくでしょう。

また、S&Pなどの株価指数は最高値更新を続けており、流石にそろそろ限界と感じる方が増えて来れば、債券を買う方が増えてくると思われます。

その時買うのはAGGのような総合債券でしょうか、TIPのような物価連動債券でしょうか。

TIP単体のチャートを見ながら紐解いてみます。

Yahooファイナンスより引用

TIPが最も伸びているのは①2008末~2013初②2018末~2021(継続中)の2つです。

①はリーマンショックを受け、景気後退が実質金利(名目金利からインフレ率を引いた物)を押し下げていた時期です。

②は景気の循環サイクル(約10年)を受け、そろそろ後退局面と見て警戒していた人も多かったと思われます。

このような不景気や景気後退が確認出来る局面で実質金利が下がってきた時に強さを発揮している事が分かります。

今後は?

2021年8月現在はコロナ対策のために世界的に大掛かりな財政出動が行わ景気の急激な悪化を留めていますが、コロナの沈静化を見越して財政出動は解除されると疑っている方も多いのではないでしょうか。

今後政策金利が上がって行き、インフレ率が変わらないのなら、実質金利は押し上げられる事になりますので、TIPは下がる事になります。

逆に想定以上にインフレ率が上がる場合には実質金利が押し下げられた状態が維持するため、TIPは上がる事になります。

どちらのシナリオが正しそうか…ですが

現在は歴史的低金利水準が是正され始めた?という予兆期なので、TIPは短期的には暫くは金利上昇があるだろうという思惑で上がっていると思われます。ただ、米国はインフレ率を神経質に見ていくでしょうから、長期的に見た時に上がり続けるか?と考えると慎重に考えた方が良さそうです。

どっちつかずの状態が暫く続く、と思われる方はTIP。インフレ率を抑えながらも名目金利は上がると思われる方はAGGを仕込むのが良さそうです。

まとめ

改めて特徴をまとめると次のようになります。

・投資先の格付けは最高レベルで不安無し
・物価連動するので、インフレ局面で負けやすい債券の中でもインフレに強い。
・歴史的低金利水準が是正され始めた?かどうかまだ確定していない局面なので、それをどう見るかで買いか売りかスタンスが変わりそう。

長期金利はこの1年大きく上昇しましたが、まだ方向性が定まっていません。

コロナ影響による米国の景気動向が見えてくるともう少し方向性が見えるようになってくると思いますが、投資するにあたっての判断基準は、やはり米国の長期金利動向とインフレ率次第ということになります。

「インフレに備えて対策しておきたいしていく」と考える方にとっては選択肢の一つに成り得ると思います。

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