外貨預金は投資対象になる?まとめました

投資先
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現在株や債券への投資を実施しており、ローリスクな商品を探す日々ですが、そういえば昔からある外貨預金という商品はちゃんと考えたこと無かったな、ということで改めてまとめてみました。

結論としては、特に投資対象に選ぶ理由が無いと思います。その理由を考察していきます。

基本情報

馴染みのある商品の方が分かりやすいかと思いましたので、外貨はドルで考えます。また比較用にSBIグループの商品郡と比較してみます。

外貨預金に投資する目的としては「利息」か「為替差益」を目当てに実施すると思いますので、それぞれのパターンで考えてみます。

利息


利率
(1年)
100万
預入時
利率
(3年)
100万
預入時
為替
手数料
円普通
預金
0.001%¥100.001%¥10無し
円定期
預金
0.13%¥1,3000.02%¥200無し
SBIハイブ
リッド預金
0.01%¥1000.01%¥100無し
外貨普通
預金
0.001%¥100.001%¥108銭
(往復)
外貨定期
預金
0.12%¥1,2000.18%¥1,8008銭
(往復)
FX(米ドル
/円)※
0.166%¥1,6600.166%¥1,6600.4銭
(往復)

※FXはレバレッジ1倍、110円換算で、6/11時点のスワップ5円(1万通貨)維持と仮定し、1年保有したとして計算。

超低金利時代のため、利率が軒並み低い事は置いておいて、外貨の定期預金でも他と比べ特別高い利率ではありません
定期預金はその期間資金がロックされ、為替状況を見て好きなタイミングで売れないという制約が付くため、変動が大きく、取引タイミングが重要な為替との相性はイマイチです。

為替差益

外貨商品に投資をするなら、基本的にはこちらを狙っていくことになると思います。

取引タイミング

為替で利益を上げるなら「円高の時に買って、円安の時に売る」が基本戦略になりますが、これは外貨預金でもFXでも同じ戦略を取れるので、外貨預金特有のメリットにはなりません。
また、FXは売りからも入れますが、外貨預金は買いからしか入れません

税制

このハンデを乗り越えて、大きな利益が出たとして、どのような税金が掛かるかを比較してみます。

利息部分
税金
為替差益
部分税金
差損時の
通算可否
損失繰越
円普通預金分離課税
円定期預金分離課税
SBIハイブ
リッド預金
分離課税
外貨普通預金分離課税総合課税雑所得
のみ可
不可
外貨定期預金分離課税総合課税雑所得
のみ可
不可
FX(米ドル/円)分離課税分離課税先物取引系
のみ可

注目すべきは赤字の所で、外貨の差益は総合課税です。所得が大きいほど税率が上がっていき、最大で55%にもなるため、「所得の大きい人ほど利益を上げにくい商品」となります。

また損失の繰越が出来ないため、翌年、翌々年に利益が出たとしても税金を減額することも出来ません。

利益を上げた時も、損失が出た時も不利な税制になっていることが分かります。

選ぶ理由はあるか?

比較では良い所が無い外貨預金ですが、色々な前提条件を付ければ選択の余地はあるのか考えてみました。

FXをやらなくて済む

外貨預金の良い所ではないですが、消去法として選ぶ理由になります。
FXはレバレッジ1倍であれば、外貨預金とリスクの程度は大きく変わりませんが、「FXは危険」というイメージを持っている方も多いと思われるため、大きな理由になるかもしれません。
FXは制度上「レバレッジを上げることが出来てしまう」ため、そもそも制度的にそのようなことが出来ない外貨預金の方が、万が一にも安心という考え方もあります。

少額から始められる

FXでレバレッジ1倍を維持しようと思うとそれだけ証拠金が必要なため、資金に余裕が無い状態でFXを始めてしまうと自動的にレバレッジを上げることになってしまいます。
一方、外貨預金は少額でも始められます。
積立も出来ますので、ドルコスト平均法を用いながら貯めることが出来ます。

利益が少ない場合は総合課税のデメリットが打ち消せる

「年収2,000万円以下+雑所得20万以下」なら確定申告不要です。

外貨定期預金にすると自由に売買しにくくなりますが、外貨普通預金なら制限はありません。利息は少なくなりますが、元々利息は多くないですし、為替差益を狙う方がリターンは狙えます。
所得が多いと大きなデメリットになる総合課税も20万以上利益が出ない状況なら関係ありません。少額で運用しているときは、そもそもそれほど大きな利益が出ないというのもあります。

これらの理由により、投資対象に出来る場面が非常に限られる印象です。ただその限定的な状況なら、投資対象に選ぶべきでしょうか。

それでも選ぶ理由は無い

それでも選ぶ理由は無いと思われます。その理由をまとめていきます。

税制が不利

一番大きい理由はこれだと思います。
為替はハイリスク・ハイリターンであり、利益が出る時も損失が出る時も大きくなりがちですが、「利益が出たら総合課税、損をしたら繰越できず丸々確定」なため、制度的に不利過ぎます。

買えるタイミングが難しい

FXでは売りから入る事も可能ですが、外貨預金は買うことしか出来ません。
そのため、「円高の時に買って、円安の時に売る」戦略しか取れず、円高になるタイミングをひたすら待つことになります。それが待てない場合は、積立で一定額買い続ける戦略もありますが、変動が読めない、かつ大きいので大きな損失になるリスクがあります。
ひたすら上るまで待ち続ける事も可能ですが、何年も大きな損で待つのは精神的にも厳しいです。

取引手数料が高い

比較ではSBIグループ内での比較のため、極端に手数料の差は無いですが、それでも高いです。更にメガバンク等だと往復50銭や1円(100銭)も普通にあり、SBI-FXの0.4銭と比較すると250倍にもなります。
これより頻繁な売買には向かず、ある程度長期保有して利息を得ないと利益が圧迫されるというのも苦しいポイントです。

ペイオフの対象外

金融機関が破綻しても、元本1000万+利息までは保護されるペイオフ制度。外貨預金はこの対象外です。預金という名称が付いているため、円預金と同等に感じてしまいますが、他の投資商品と同等の破綻リスクはあり、安全度が特に高いという訳でもありません。

定期的にキャンペーンが行われていますが、金利○○%!という売り文句の下に、「1ヶ月のみ」のように期間が必ず制限されており、適用される期間が長くないという誤解を招きやすい宣伝が多く、いわゆる釣り商品が多いのも印象を悪くしています。

まとめ

この記事では外貨預金について改めてまとめてみました。
良いと思える所は少なく、リスクとリターンのバランスが悪い商品だと思います。

預金の名称から、なんとなく安全なイメージがあるのもバランスが悪いと感じる理由かもしれません。

リターンを狙うなら株がありますし、投資信託を選べば銘柄選定はプロに任せる事が出来ます。

少額でそこそこの利益を狙うなら、最低単元が利率的に最もお得な優待銘柄を選ぶのも良いです。

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ローリスクな商品であれば、やはり債券がおすすめです。
日本の国債等は利率が非常に低く利益は出ませんが、外国債券であればリターンも狙えるため、次の記事も参考にしてみて下さい。

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