直近値動きの激しい債券動向について、米国金利と照らし合わせながら整理していきます。
AGGは2021/5/13にも記事にしているので、1年前どうだったか気になる方は比較用に見てみてください。
基本情報
AGG | |
運用会社 | ブラックロック |
投資地域 | アメリカ |
設定日 | 2003年9月22日 |
投資対象 | 米国投資適格債券 |
保有銘柄数 | 10244 |
信託報酬 | 0.04% |
直近平均利回り | 3.41% |
標準偏差 | 4.02%(3年) |
配当 | 毎月 |
基準価額 | $102.96 |
直近の価格下落を受けて平均利回りが急上昇しています。
利回りだけ見ると魅力的に見えますが、現在も絶賛基準価格下落中なので、これから買おうと考えていた方は暫く様子見が良いかと思います。
標準偏差は4.02%となっていますが、直近の大きい値動きをまだ反映しきっていないので、1年で見ると大きい数値になると思われます。
直近5年の配当利回り推移は以下の様になっています。
年度 | 配当利回り |
---|---|
2017年 | 2.35% |
2018年 | 2.65% |
2019年 | 2.86% |
2020年 | 2.25% |
2021年 | 1.71% |
また、2022年に入ってからの直近3ヶ月の配当額と配当利回りは以下に様になっています。
年度 | 月末基準価額 | 配当額($) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2022年1月 | 111.76 | 0.161482 | 2.35% |
2022年2月 | 110.34 | 0.160622 | 2.65% |
2022年3月 | 107.14 | 0.159848 | 2.86% |
2021年以降は米国金利上昇の流れを受けて債券価格は下落傾向、それに伴い単月の配当利回りも上昇中という状況です。
直近15年の値動き
長期金利の影響と今後の展望を見るため、直近15年の値動きを見ていきます。
米国債10年物
大きい流れとしては、金利は下落傾向が続いていた物の、2020/07/31で落下が一段落、その後は上昇に転じています。
直近1年半ほどで大幅上昇となっており、また市況もインフレが続いている状況のため、暫く下落は無さそうです。
これらのタイミングでAGGがどういう値動きをしたのか見てみます。
金利が下がったタイミングではAGGが上げ、金利が上がったタイミングではAGGが下げており、定石通りの動きはしています。
ただやはり債券価格下落(金利上昇)がかなり急な印象です。
リーマンショックやコロナショックでの落ち幅と比較しても今回は下げが大きく、「2020/08/04:119.48」「2022/04/29:102.94」と直近高値と比較しても14%ほどの下落となり、値動きの少ない債券としてはかなりの下落幅となっています。
特に2022年5月現在は円安傾向で、為替的にも不利という状況です。
市況
2021年末時点
FOMCによる量的緩和縮小が決定。年末にかけてはそれが加速される見通しとなりました。
コロナオミクロン株の実態が見え、警戒感が後退したことからリスク選好の動きとなり、米国株や米国長期金利は上昇という流れです。
なお、2021年末時点では利上げ見通し3回の予定でした。
2022年3月末時点
FOMCは政策金利見通しを引き上げ、0.25%/回を7回の予定に変更しており、急激に進むインフレへの対策として金融引締に積極的な姿勢を示しています。
2月にはウクライナ侵攻が始まり、資源価格高騰も進んだ結果、景気減速懸念は更に強まっています。
2022年見通し
ウクライナに関連する資源価格高騰は暫く尾を引きそうな状況です。
何らかの形で平穏が戻り、またコロナ収束となるまでは現状の動きが継続しそうです。
円安も急激に進んでいますが、流石に安くなりすぎとの声も聞かれ始め注目が集まっています。
総じて債券投資には向かい風の状況であるため、まとまった金額での投資は落ち着いてからの方が良さそうです。
まとめ
この記事では米国債券ETF状況をAGGを元に整理しました。
現状はコロナ・ウクライナ問題・円安と債券に取っては三重苦の様な状況のため手を出しづらくなっています。
いずれも長期化しそうな問題だけに投資判断としては迷う所ですが、暫くは様子見が良いかと思います。
また大きな変化があれば整理し直したいと思います。