数少ないREIT保有銘柄の 「ヘルスケア&メディカル投資法人(以下HCM)」 が10月21日に分配金が確定し、支払いが行われたため、記事として取り上げたいと思います。
この記事では、現状唯一のヘルスケア特化型のREITであるHCMのおすすめポイント、価格推移、分配金推移をまとめたいと思います。
基本情報
ヘルスケア&メディカル投資法人 | |
証券コード | 3455 |
銘柄タイプ | ヘルスケア施設主体型 |
価格 | ¥155,300 |
分配金 | ¥3,266 |
分配月 | 1月、7月 |
利回り | 4.17% |
上場日 | 2015年3月19日 |
格付け | A |
※価格は2021/10/21時点
なんといっても特徴はヘルスケアに特化したREITだと言うことです。
元々は以下の3つのヘルスケアREITが存在していましたが吸収合併され複合型や総合型に姿を変えており、ヘルスケア特化で残っているのはHCMのみとなります。
・日本ヘルスケア投資法人:大和証券リビング投資法人が吸収合併
・ジャパン・シニアリビング投資法人:ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人に吸収合併された
・ヘルスケア&メディカル投資法人(HCM): 残存している唯一のヘルスケア特化型
REITは住宅型や商業施設型、総合型など、様々なタイプがありますが、複数のタイプを持つのをリスク分散と見るか、強みを消していると見るかは見解が分かれる所です。
日本の高齢者の数が増えることは確実であり、今後もヘルスケア需要は成長が見込まれることから有望な投資先と見ています。
投資物件
保有している物件の一覧はホームページに公開されています。
基本的には「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」がほぼ全てで、病院(併設含む)が少しという構成です。
分配金実績
非常に安定していることがわかります。
これは上場来、物件の稼働率が100%を維持している事が大きいと思います。
商業型のREITの場合、テナントが景気影響を受けやすかったり、住居型の場合、人気のエリアの物件を取得出来るかで稼働率が変わる中、ヘルスケア市場は拡大を続けている事もあり、一時的な景気影響も受けにくいというのがあります。
投資口価格・利回り・出来高の推移
5年間の推移です。
上場直後は¥172,200で、その後¥93,600まで一気に下降した時期もありましたが、以降は緩やかに右肩上がりとなっています。2020年はコロナ影響を大きく受けましたが、影響を受けるセクターでは無かったため回復も早いです。
分配金が安定しているという事は急に増額する可能性も低いため、投資口価格が上がれば利回りは今後も低下していく事が見込まれます。投資冥利が下がってくれば、今後はどこかで調整のタイミングがあるかもしれません。
HCMの魅力
なんと言っても成長市場に投資している点です。
REITは結局「不動産」というセクターであり、株と同様景気影響を大きく受ける物で見極めが難しいです。
なので総合型のREITを選んだり、東証REIT指数に連動するインデックスETFを購入してリスク分散するという考え方もあります。
一方、分散したせいでリスクを負っている面もあり、例えば直近のホテル系REITの分配金が壊滅的な状況も暫く引きずる可能性があります。
それならそもそも不動産セクターの中でリスク分散せず、世界や日本市場全体のインデックスに投資すれば良く、REITを買うなら個別株を選ぶのと同じように成長市場へ投資するのも選択肢の一つかと思います。
HCMの懸念
やはり1銘柄しか無く、実績やデータが豊富に無い点です。
まだ上場してから6年程度の銘柄であり、また上述のように他のヘルスケアREITは吸収合併されてしまいましたから、特化型として成長していけるのか、安定しているのかはまだ見えていない所もあると思います。
例えば法律の変更があれば、その影響を全て受けてしまいます。
時価総額は日本のREITの中で56位(インフラファンド除くと全62銘柄)、規模はまだまだ小さく、安定した大手に投資したいという人にも向きません。
まとめ
改めて特徴をまとめると次のようになります。
・日本のREITの中で唯一のヘルスケア特化型。
・成長市場に投資している。
・現状利回りはそこそこだが、特性上、今後大幅な増額はしにくい。
・小型で実績の少ない、これからの銘柄
市場の成長を見込めて、値上がり期待をしつつ分配金もしっかり貰える点で、現状の投資口価格であれば充分魅力的な水準にあると思います。
投資先候補の一つに加えて見てはいかがでしょうか。